王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

読書感想文 S・キング「異能機関」

はぁ~。
読書っていいね。

 

年末年始休暇の数日間、下の子が空手の合宿で不在だったので、めっっっっっっちゃくちゃ久しぶりに、集中して、読書ができました。

S・キング「異能機関」

厚めの単行本で上下巻構成。

上巻は初日に4時間ぶっ通しで読んだ。気持ち良かった。
こんなこと、連休の日、それも『奴』がいない日にしかできないよ!何回も言うけど、読書だけに何時間も集中できるなんて、随分久しぶりだったんだから~~!!

自分の「読書筋」みたいなもの(もちろん「筋肉」は比喩です)が衰えてなくて良かったです。

 

さて、S・キング「異能機関」について。

邦題、もうちょっと何とかならなかったのかね。
原題は「The Institute」。「研究所」という意味です。それが。「異能機関」なんて。なんかモッサリしてませんかね。
邦題がダサいというよりも、原題があっさりしすぎなのかな。
あの有名な「スタンド・バイ・ミー」の原題なんか「The Body」だし。直訳すると「体」、更に言うと「死体」。
キングじゃないけど「アナと雪の女王」なんか、原題「Frozen」だし。
日本人の、タイトルをつける人が、色々盛り込み過ぎなんだと思います。
そう考えると「研究所」では何も伝わらないだろうと思って付けられた「異能機関」、それほど悪くないタイトルなのかも……?


ストーリーは、超能力を持つ少年が謎の機関に誘拐されて、検査という名の虐待を受けながら利用/搾取されるというもの。いわばキングの王道路線です。50年の作家生活で、これまでにも何回かそういうお話を書いてます。
主人公の少年は天才的な頭脳を持ち、12歳にしてマサチューセッツ工科大学とあと一つ文学系の大学に合格してて、同時に通おうとしていました。そんな矢先に誘拐されてしまいます。
その機関の「研究所」には、数人の超能力少年少女が収容されています。主人公は仲間の少年少女と友情をはぐくみ、なんかします。

その様子を、訳者の白石朗さんは「IT」になぞらえていました。「IT」ってアレよ。風船持ったピエロが「ジョージィー」って言いながら出てくるアレ。「IT」もキングの代表作ですよ。
「IT」は、超能力というほどではないけど友情の絆で結ばれた少年少女/それから27年経った中年男女が怪異に立ち向かう話です。

私個人的には、「異能機関」にそんなに「IT」は感じなかった。
白石朗さんがそう感じたからって、本の帯に「ITみたい」って書いちゃっていいものだろうか?と思った。
いや、白石朗さん、キングの訳者の中では一番好きなんですよ。でもなあ。

誰がどう見ても似ていて帯にも書いてる「ファイアスターター」の他に、私が似ているキング作品を挙げるとすれば、短編「なにもかもが究極的」です。

「なにもかもが究極的」は、超能力を持った少年が謎の機関に働かされる話です。わぁ、「異能機関」とおんなじだー。
これ、長編に比べたらあんまし目立たないけど、私がすごく好きな作品です。キング作品にしては珍しくちょっとアホっぽい主人公は、キングの別の作品で異世界に連れて行かれて登場してるので、キングもこいつのこと好きなのかもね。

ネタバレを防ぐために詳しいことは言いませんが、「異能機関」「なにもかもが究極的」に共通していることは、バックに謎の巨大組織があって、その組織が世界のバランスを保つために独善的なことをしているってことです。そこまで共通してて、なんで「異能機関」の帯で言及されないんだろう。

「IT」「異能機関」は文春から刊行、「なにもかもが究極的」は新潮から刊行されているという大人の事情から……?と勘繰ってしまうな。
それ言ったら「ファイアスターター」も新潮なんだけど、これはマジで似てるから言及せざるを得なかったんだろう。
考えてみると、「ファイアスターター」のチャーリー1人の方が、「異能機関」の能力者全員を合わせたよりも強かったな。キング作品に登場する超能力者強さランキングとか、誰かやってないかな。

 

そして私ときたら、ぜんぜん感想を書いていないではないか。前にも同じことをやっちまった気がするけど。

「異能機関」…… 5点満点中3.5点。

キングの原点回帰。上巻を4時間ぶっ通しで一気読みするほど没頭できた。下巻も時間が許せばそうしていただろう。面白かった。
面白いんだが、やっぱり読んでる途中で「ファイアスターター」や「なにもかもが究極的」がチラついてきた。「バックにいるの、同じ組織かな」とか思った。「IT」はチラつかなかった。ここは白石朗さんと私の感性の違いだろう。
キングは50年も作家やってるので、どうしたって似たようなプロットは出てきてしまうだろう。そして私は30年もそのファンをやっているのだ。どうしたって比べてしまう。
面白いんだが、ちょっと色々うまく行きすぎじゃね?と思った。

上巻の初めはしばらく、主人公のルーク少年と後に出会う人物ティムのことを書いてるんだけど、ティムはその後なっっっかなか出てこない。ただしキングファンはそんなことには慣れっこである。分冊集「グリーンマイル」や中編集「アトランティスのこころ」で喰らった意地悪な肩透かしに比べたら、むしろどうってことない。
そのティムがルーク少年の言うことを信用する根拠がやや弱いような気がした。
あと、組織、色々愚か過ぎる。独善的な国家権力の愚かさとか、そういうのを描きたかったんかな。
人物描写は漏れなく魅力的。キング作品はいつも人物が活き活きしている。

やっぱり総合的には雑だなーと思ってしまった。一気読みできる面白さはあっただけに、話の運びに無理矢理感を感じてしまって残念だった。

あと個人的に、「鼻くそほじりマン」という表現に反応してしまった。うちの息子が幼稚園時代、鼻くそをほじって食べている同級生につけたあだ名と一字一句違わず完全一致しているのだ。「鼻くそほじりマン」。これはキングではなく白石朗さんのお手柄である。キングが敢えて多用する汚い言葉を、似ているニュアンスの自然な日本語に訳す、白石さんの手腕だ。

点数は3点にしたかったが、素晴らしい読書体験と「鼻くそほじりマン」の分、0.5点オマケした。ラ王の袋麺についてるベルマークぐらいの価値。

 

以上です。

同時に購入した、S・キングと息子O・キングの共著「眠れる美女たち」をじっくり読めるのは、いつになることだろうねえ……。
しかしキングさんちは奥さんも長男も次男も作家なの凄いな。長女だけ作家でないらしい。長年キングファンやってると、こういう知識も身に付くものです。

刺さる星座・刺さらない星座

今年は辰年

……という話を息子としていたのに、いつの間にか干支から星座の話に変わっていった。
干支と十二星座がかぶるのって、未年の牡羊座と丑年の牡牛座ぐらいだろうか。午年の射手座は下半身のみOK?
※十三星座がアリだったら、巳年のへびつかい座も微妙にかすってる。
 十三星座占い、ちょっぴり流行ってすぐ消えましたけど、あれ何だったんでしょうね。知ってる人は多分40~50代。

 

息子は牡牛座。おともだちのSくんは蠍座(息子いわく「サソリ、かっこいい!」)だそうだ。

「ぶっ刺すコンビ」って言ってた。

え。蠍座はわかるけど、息子氏、牡牛座の角を「刺す」ものと認識しているのかい?

私にはその認識はなかったし、何より星座を「刺さる」「刺さらない」で考えたこともなかったな。
斬新な観点だ。すごいぞ息子。

息子は「ヒツジの角も刺さるよね?」と言ってた。つまり、牡羊座も、息子の分類では「刺さる」星座だ。あと、山羊座も「刺さる」。

でも、一番刺さるのは、弓矢を持った射手座
何といっても射手座

そして、お母さん(=私)、射手座

どうだ。羨ましかろう。

ってことは、息子と私は「ぶっ刺す親子」か。

 

息子に「蟹座は?」って聞いてみたところ、「カニは挟むけど刺さらない」って言ってた。蟹座、「刺さらない」認定。
この話をしてた時、獅子座の存在をさっぱり忘れたんだけど、ライオンも息子判定では「噛むけど刺さらない」んだろうな。

天秤座は、聖闘士星矢(予測変換で出る!便利!)を履修してる人にとっては、大いに「刺さる」星座だ。天秤座の黄金聖衣(さすがにゴールドクロス読みでは変換できなかった)の武器のうち、ソードとスピアーは「刺さる」から。でも息子にとってはただの天秤なので、「刺さる」はずがない。

ところで、聖闘士星矢を履修した人は、十二星座占いで登場する黄道十二星座とその順番、しっかりわかりますよね?

 

余談なんだけど、私、十三星座だとへびつかい座です。レアだろ。羨ましいだろ。イエイ。

聖闘士星矢を履修した、ある程度以上の年代の人は、当時きっと「おっ、シャイナさん黄金聖闘士昇格あるか?」とチラリと思ったはずです。思ったことがないとは言わせんよ。

 

はぁ。リアルでこういう話ができる友達、今はひとりもいないなあ。

 

玉ねぎのひみつ

夕飯作りのとき、玉ねぎを切っていると、息子がやってきて、こう言った。

「玉ねぎって、丸いから玉ねぎなんだよね」

うん。

「でも、おともだちのYくんは、玉ねぎの名前をこう思ってたんだって。

 玉ねぎの先っちょに、こう(先が尖った形・先端のカットされた部分)なってるところあるでしょ、あれがち〇ちんで、下の丸いところが玉。だから『玉』ねぎだと思ってたんだって」

 

 

私、思ったより大笑いした。

Yくん、いいセンスしてる。

 

子ども(とりわけ男児)って、ちんとか玉とか好きよねー。

買った物>送料 「マップMEMO」

20年くらい前、私は、とある海外メタルバンドの来日公演で渋谷公会堂に行く途中にあった雑貨屋さんにふらりと立ち寄ってみた。

色々おしゃれな雑貨が置いてあったが、私は、地図柄のメモ帳が妙に気になった。それは、実際にどこかの機関で使われていて改定のため廃棄になった地図の紙を、裁断してメモ帳にしたものらしかった。

これは私の大好物の「リサイクル品」「何かが別の何かに形を変えたもの」「ひとつひとつデザインが違うもの」ではないか!
地図を裁断したものだから、当然、1枚1枚デザインが違うのだ。ときめいた。

しかし、当時の私は、それを買わなかった。何か書いて捨てるだけの紙にお金を払いたくなかったのである。社会人になりたてで、あまりお金がなかったのだ。メモ帳なんて何かの裏紙で十分だと、当時は思っていた。

それから20年以上になるが、私は地図再利用メモ帳のことをたびたび思い出した。
やっぱりあれは欲しかった。買うべきだった。よっぽど欲しかったのだ。

そしてついに先日、同じものではなくとも「廃地図のメモ帳」がどうしても欲しくなり、検索した。
結果↓

net.jmc.or.jp

(画像は上記サイトのもの)

うわー地図だ!本物の地図の裏紙だ!こういうのを探してたんだよ!
めっちゃいいじゃん!素敵!

こちらのサイト↓によると

www.mapbox.jp

廃棄となった地形図を廃図といいます。国土地理院が刊行している地形図は、新刊が刊行されるとそれまで販売していた地形図は販売できなくなってしまうため、廃図が生まれます。

それを裁断してメモ帳にしたのが、一般財団法人 日本地図センターが制作している「マップMEMO」なんですねえ。
20年以上前に渋谷の雑貨屋さんで見たものとは全然違いますが、これは良い。

そして1冊100円。安すぎではないだろうか。
まあ、本来廃棄するはずの地図なんだから材料費は実質ゼロか。原価は裁断と製本にかかる費用ぐらいですね。

早速買おう!

……と思ったら、送料がかかるのね。そりゃそうだ。運送業者の人だって給料をもらってゴハンを食べなければ生きていけないもんな。アマゾンが異常なだけだ。そこは私もちゃんと理解しているよ。

送料はいくらだろうか。なになに、2冊までだと340円だか360円、3冊以上になると850円……?

わーーーーーーーー!!!!

なんで100円のものを買って、品物代より高い送料を払わないといかんのじゃい!
※個人の感想・感覚です。

なんか嫌なんだよ!送料の方が高くなる買い物ってさあ!

でも欲しい!欲しいよマップMEMO!職場で誰かにメモを渡すとき、裏がガチの地図だったらカッコいいじゃん!買いたいよぉ!

1冊100円!お買い得じゃん!欲しいんだったら絶対買うべきじゃん!渋谷の雑貨屋のは値段忘れたけどもっと高かったはずだ。だって100円なら買ってたもん!

でもでもやっぱり送料が品物より高いのは嫌だ!そうだ、10冊買えば1,000円だから、送料の850円より高くなって良いのでは?
でもでもでも、1,000円も850円もそんな変わらなくない?まして、そのためだけに10冊も買う?

 

 

…………気がつくと私は、マップMEMOを20冊購入していました。
送料込み2,850円。品物が2,000円で送料が850円。これなら納得!
本人が(いくぶんの引っ掛かりをおぼえながらも)納得してるんだからいいんだよこれで!

ほら!この重厚感!

※数えると18冊しかありませんが、娘に2冊あげたからです。

表紙はピンクとブルーの2色から選べます。ピンク10冊、ブルー10冊買いました。

女の人の両腕が日本地図に変化している 微妙 絶妙なデザイン!夫に見せたら「能登半島と房総半島がやたらデカい地図だね」と言っていました。地理強者の発言ですね。

で、私が思ってた2倍デカかったです。せいぜいハガキサイズ(A6)またはそれより小さいものだと思ってたんだよ、メモ帳だし100円だから。

実際のサイズはこう。

横幅180mm以上。※工業系の人、寸法をmmで言いがち。


荷物を受け取ったとき、やたらずっしりしてるなーと思ったんですよ。
これはちゃんと仕様を確認しないで発注した私のミスです。思ったより大きいのが1冊100円で買えて良かったと思うか、これじゃデカすぎてメモ書いて渡したときに余白が多すぎになっちゃうよ~と思うか、それは感じ方次第。

半分のサイズに裁断して使うことを、本気で考えています。

 

実際の中身はこんな感じ。

等高線!地図記号!欄外の説明書き!いいですねえ。本物の地図ですねえ。

有明海!知ってる地名があるとわくわくしますね。国土地理院とか書いてあるのが本物感ありますね。だって本物だからね。

ジャックニクラウスゴルフ場!知らない地名にもわくわくしますね。どこだここは。四日市って書いてるから三重県か?想像をかき立てられますね。ところでジャックニクラウスって誰?レジェンド的なプロゴルファー?

 

リサイクルや地図に興味があって送料とサイズに納得がいく方は、マップMEMO、購入されてみてはいかがでしょうか。

20冊も買う必要はありませんが。

もしかして馬鹿なのかな、私。

生活の役に立つかもしれない情報~ズボラさん向け

洗濯槽クリーナー、ありますよね。洗濯機に放り込んで回すと洗濯槽の内側のカビが取れるやつ。
1~2か月毎にやれば効果的だと言われています。マメな人は定期的にできてると思うんですが、私みたいなズボラな人間は、定期的に何かする習慣自体、身に付けるのが難しいのではないでしょうか。

そんな時は、何か別の生活サイクルと無理やり結び付けてしまうのが良いです。
私の場合、地域の廃品回収(古新聞や段ボールやアルミ缶を回収)が2か月に1回開催されるので、「廃品回収が終わったら洗濯槽クリーナー!」って結びつけました。

……ここでズボラな皆様から「そもそもズボラは廃品回収すらちゃんとできねえんだよ!」というツッコミが入るかもしれません。それを想像できるくらいには私はズボラです。
でも私は廃品回収やらリサイクルやらに異常な情熱を持つリサイクルマニアなんですよ。物が何か別の物に変わることに異常な興味があります。だから廃品回収の日は決して忘れません。

ズボラな皆様におかれましても、きっと何か好きなこと、興味あることがおありのことと思います。それとセットにすれば良いのです。おっさんビジネス用語で言うと、がっちゃんこするのです。
関係ないけど、うちの祖父がホッチキスのことを「がっちゃんこ」って呼んでた。

 

ちなみに私は本当にズボラなので、自分が得をすることも平気でめんどくさがります。
具体的に言うと、クレジットカード等のポイントを使い忘れるとか、使うのがめんどくさくて使わないとか、何に使えるのか調べることすらめんどくさいから調べないとか、ザラにありました。楽天ポイントなんて今までどんだけ無駄にしてきただろうと思います。Tポイントなんて使ったことないかも。

これも克服しつつあります。

まずWAONポイントを失効前に使う方法。
私は普段の買い物にとどまらず自動車税から固定資産税から何でもかんでもイオンカードで支払うので、WAONポイントがめちゃくちゃ貯まります。このWAONポイントは、家に浄水器のカートリッジが届く年3回のタイミングで使うことにしました。
「1,5,9月は浄水器のカートリッジ!カートリッジが届いたらWAONポイントを使う!」
これで万事解決です。浄水器のカートリッジは勝手に自動で送られてくるので、管理の必要がありません。カートリッジが届いたら、日常のイオンの買い物で、WAONポイントを空になるまで使います。

楽天ポイントは、よく行くスーパーのポイントカードと提携してるんですが、たまたま行きつけのガソリンスタンドとも提携してました。だから、「1500ポイントたまったら給油のとき1000ポイント使う」という独自の謎ルールを設けました。ルールなんか適当でいいんですけど、とにかく何らかのルールがあればいいんです。

Tポイントは知らん。Tポイントという制度自体が無くなるんだっけ?本当に知らん。なんかハガキ来てたけど。

 

私はズボラな割に、一旦身に付いたルールはちゃんと守る方です。
いや、ズボラだからこそ、惰性で/思考停止でルールに従い続けるのが楽なんです。
簡単なルールならちゃんと身に付くので、それを他のものに拡張すれば楽だということがわかってきました。

ズボラな皆様も、皆様なりの方法をお試し下さい。
特にポイントを失効しがちな方。

私の仕事の話~たとえ話で

怒涛の試作ラッシュが終わって、やっと落ち着いて本来の仕事ができるぞー!


……以前より、私の仕事は工場勤務で化学系で技術系ってことは何度か言ってきた。しかし、具体的に職種バレとか職場バレはしたくないので、ぼかしてきた。

今回はより大胆に、たとえ話として、私の職場をスナック菓子工場になぞらえて、最近の状況を述べたいと思う。

↓以下たとえ話

本来の私の仕事は、スナック菓子の材料の配合を作る人である。

どんな原材料をどのくらい使うか決めて、実際に小さい設備で混ぜたり練ったり焼いたり揚げたりしていろいろ試作して、味とか食感とか保存性を試験したりもする。うまくいったら、量産用の大きな設備で作れるようにする。

配合を作る際には、法規制で使っちゃいけない原材料を使わないように気を配る。たびたびお客さんからの問い合わせで「この成分は入ってませんよね?」っていうのを受けて、原材料のメーカーにそれを問い合わせることも、仕事の一部である。

また、味とか食感とか保存性を試験するときに、社内にある試験機ではできない試験を、外部の試験センターに依頼することもある。丸投げじゃなくて、試験の条件を指定したり、試験結果を解析したりしないといけないから、相応の知識を持ってないといけない。

スナック菓子に異物が練り込まれてたりしたら、その異物が何なのか、どこから入ったのかを分析することも、私の仕事である。
分析といえば、他社のスナック菓子の原料を分析したり、お客様が他社から買った菓子がなんかすぐ変質しちゃうから原因を調べてほしいとかいう、ある意味での無茶振りを引き受けたりもする。お客様がそれで認めてくれて我が社に仕事が来れば利益に繋がるためだ。

あとは、慢性的に製造上の問題を抱えている製品の問題点を解決するとか、これまでにない味/これまでにない製法の開発もする。

量産ラインに乗ってる製品の原材料が製造中止になったら代わりの材料を見つけてまた一から試験するとか、それが決まったら配合表の改定とか、量産用設備で現場の人が作業するための標準書を改定するとか、そういうのもやる。

中小企業はとにかく人手が足りないので、いろんなことを少人数でやっている。

そんな中、私の本来の仕事とは言えない、「小口の顧客のためにスナック菓子を10袋くらい作って売りたいんだけど、大量生産用の設備では1回で100袋も1000袋もできてしまうので、試験用の小さい設備で同じやつをちょっとだけ作ってくれ」というのがある。
大企業だったら「そんなんやってられるか」って断る案件である。しかしウチは中小企業なのだ。お客様のお仕事は、なるべく断らない。次の大きな仕事に繋げるために、小さな仕事も拾う方針なのだ。
配合や作業手順はもうできていて、私が小さい設備で作るだけの作業である。
好きか嫌いかで言ったら、作業自体はけっこう好きである。しかし、一気に何種類もの試作依頼が来て段取りや業務調整などに時間を取られたり、「急ぎの依頼入ったから明日お願い」「依頼忘れてたから最短でお願い、ごめん」などと言われたりしたら、うんざりする。
それがしょっちゅうある。

設備を動かすからには使用前後の清掃が必要だし、倉庫から材料を必要量だけ出してくるのだって手間がかかる。だから私は効率を求めて、似た作業はなるべく1日にまとめ、意図的に作業をしない日を作ってデスクワークに集中するなど、工夫をして回している。

それなのに。今日・明日はみっちりデスクワークの日だ~!業務進めるぞ~!って決めてたのに、「急ぎでお願い♪」なんて依頼が入った日にゃ、xxxxxx(伏字)ですよ。
仕事をしてる以上、予定を狂わされることなんてザラにあるとは思う。しかし、当たり前にストレスは感じますよね。その分だけ私の本来の業務が停滞するんだから。憤りを感じますね。
マジでみんな、生きてるだけで偉いと思う。会社などで勤務していない人でも、色々と予定を狂わされることはあり、それに耐えてるみんなは本当に偉い。


たとえ話は以上だ。↑

なんか後半、スナック菓子工場のたとえ全然関係なくただただ仕事上の愚痴を言ってた気がするけど、気にすんな。多分どこの職場でも似たようなことはあるだろう。

人手が足りないってほんとに嫌よね。作業を分担することすらできねえ。

でも人間関係が悪くないからやっていけてます。そこは良かったです。


ってことでね。ほんとに試作ラッシュが終わって、昨日・今日は本来やるべき業務が捗ったわ~。2か月前から放置してた仕事も片付いた(←自分でもそれはさすがに溜めすぎだと思うんだが、上司や依頼者から何の確認もなかったので、誰も困ってなかったんだろう)。

 

来週も爽やかに仕事をします。
但し、油断してるとガンガン臨時の試作依頼が入るので気が抜けない。

普段の食と食文化と「ちゃんとした食」の呪い

「ドイツの食事は効率的」というのがX(旧Twitter)で話題になってた。
前回それについて思うところを書こうと思ったら、序盤から脱線してカトリックプロテスタントに対する私のイメージを語ってしまい、当初予定してたのと全然違うところに着地してしまった。

前回のはこちら↓

yamakinkin.hatenablog.com


X(旧Twitter)でドイツの食事についてポストしてた人たちによると、ドイツの家庭では日本の家庭みたいに三食きっちりきっちり料理をしないようだ。
夜はパンとチーズとハムだけとかが普通であり、日本の夕食と比べたら簡素だ。そのかわり、昼は良いものを食べているらしい。日本では夕食にウエイトを置きがちだけど、ドイツでは昼食が一番なんだそうだ。
あと、ドイツの人は、普段の食事は簡素で効率的にしてるけど、休日には子どもとクッキングを楽しんだり、特別な日には特別な料理をちゃんと作るらしい。

人間だから、美味しいもの食べたら幸せになるもんね。日本のそれがちょっと異常なレベルだというだけなんだよね。


前回も書いたが、日本人の「食」を大切にする姿勢には並々ならぬものがある。
「家事」を表す別の言い方として「炊事洗濯」ってのがあるが、「炊事」がトップに来ている。「炊事」とは「食物を煮炊きすること」である。つまり料理である。やっぱり。

思うに、日本人は料理をちゃんとしすぎなのではないか。
5年前の私がそれをしっかり書いていた。

yamakinkin.hatenablog.com

実はこの記事には、私が今回目指した着地点までしっかり書いてあった。いやー前に書いた記憶があったんだよねー。やっぱ書いてたねー。5年も前に。

この時は毎日のお弁当作りが嫌すぎて現実逃避するあまり、常日頃から思ってたことをつらつら書いた。読み返してみたら、今もその思いは全然変わっていなかった。

いくつか引用しよう。

◎もちろん料理をちゃんとするのは良いことだ。(中略)「食育」とか言ってそれを次世代に遺そうとしている。

◎だけど、このせいでお母さんに負担がかかりすぎるのは良くない。

◎「ちゃんと料理をするお母さん」がいいお母さんで、共働きなんかで既製品に頼りがちなお母さんは良くないお母さん、みたいな風潮は今でもある。

◎労働力を移民で補うのを考える前に、きちんと教育を受けている日本人女性を活躍させるのが先じゃないの?と思う。旧弊な価値観で女性を縛るのは時代錯誤だぜ。

◎ちゃんとした料理や食育は時間がある休みの日にでもやって、あとの日は働いたり遊んだりするのがいいと思う。私はそうしてる。

意図せずドイツ式を目指してるな、私。

私は、料理すること自体はわりと好きなんですよ。少なくとも苦にならないレベル。そのかわり掃除や整理整頓が苦手/嫌いなので、普段の掃除と食器洗いを夫にやってもらう代わりに料理と洗濯は請け負うよというスタンスでやってます。

但し、共働きのため、平日はそんなに料理に費やす時間がありません。ぜんぜん「ちゃんと」やってません。少なくとも、昭和の専業主婦のレベルではありません。近年は子どもの習い事で週の半分以上は何らかの送迎をしてるから、尚更です。

私の場合、昭和の専業主婦の母がモデルケースになってるから、「母と比べてちゃんとやってないなあ」って引け目を感じちゃうんですよ。

これも良くないなあと思っててね。

「きちんとしたものを家族に食べさせる義務」「それが当然」みたいになってしまっている。これはある種の呪いだなと思う。
いや、時間が取れる人が家事をしっかりやるのは良いことですよ。そして、それを誇りに思う価値も大いにあります。
が、共働きなどで家事に十分な時間が取れないのに、「昔の母と比べてちゃんとやってないなあ」って引け目を感じる必要はないと思います。環境が違うから。

……という認識に、世の中全体が、なっていけばいいなあ。
私の願いです。

あと、特に家族がいる場合、買うより作った方が安上がりだから三食作ってる人もいるだろう。私もわりとそう思うので、わりと作る。
このへんは各家庭の事情によるので、特に何も言うことはない。

日本の食文化は素晴らしいし、後世に遺していきたいとも思う。
但し、時代が変わったので、三度三度の食事はある程度適当でいいと思う。たまに気が向いたときに家庭料理を作るとか、たまにお店で和食を食べるとか、そういうのでいいんじゃないかなー。

そうじゃないと、現代の日常生活は回らない。共働きなら尚更である。

ふんわり着地したので、この話はこれにて無事終了。