王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

下に転調する曲~TM NETWORK「Beyond the Time」

私は昔、TM NETWORKのファンですた。←シンプルにタイプミスをしたら古のネット用語みたいになったので敢えてそのままにしておく試み。

小室哲哉の楽曲を悪く言う人も多くいますが、あんだけキャッチーなメロディを大量生産できる人はそうそういないよ。
全盛期のAKBとかの楽曲と一緒で、ファストフードやカップラーメン的な美味しさなんですよ。「だいたいの人に対して美味しく作ってある」。みんな好きだろ?マックやカップヌードル
「ああいうものが好きな奴らは貧乏舌」と言われるのも折り込み済み。
音楽は嗜好品なんだから、自分が好きなものを聴いて楽しんでいればよろし。
人生は短いのだから、好きでもない音楽など聴いている暇はない。

 

さて。小室哲哉の楽曲といえば、たいがいAメロ→Bメロ→サビで構成されていて、サビを繰り返すときに半音上に転調する曲が多いです。
決まって上に転調します。高い声は波長が短く波数が多いためエネルギーが高いように感じられる仕組みです。小室先生、高音お好きですからね。

ワンパターン?
言いたい奴には言わせとけ。そのワンパターンで長年売れ続けるってことは、それはもう横綱相撲なんよ。(※1)

そんな小室楽曲の中で、ひとつ異彩を放つ曲があります。(※2)

Beyond the Timeメビウスの宇宙を越えて)

www.youtube.com

ガンダム映画「逆襲のシャア」のEDでもあります。
TM NETWORK現役時代はアルバム未収録曲でした。つまりシングルを買うか借りるかしないと聴けない曲なので、少々レアでした。当時はサブスクも配信もなかった時代だから、音源を手に入れるためには、CDを買うか持ってる人に借りるかレンタルビデオ店で借りるかしかなかったのです。

で、この曲の何が異質かというと、珍しく下方向に転調するんです。

1:12あたりの「あー」から。
B♭マイナーからF#マイナーに、ダイナミックなわりに自然にいってる。かっこいい。

そして最後の4:05あたりの「あー」で、F#マイナーだった主題が、最初のB♭マイナーに転調して繰り返されて終わる。ドラマティックな曲展開。
曲のサブタイトルでもあり歌詞にもあるメビウスの輪のように、一旦ねじれてから最初の位置に戻ってくるんです。熱い展開。
これを計算ずくでやってたんだとしたら、これは凄い曲ですよ。

当時の日本のメジャー系の楽曲にしては珍しいパターンの曲展開です。
小室哲哉、たまにこういうことするから侮れないんですよ。

改めて「Beyond the Time」を今聴いてみたら、TMのVo.の宇都宮さんは歌ぜんぜんうまくないですね。
私は中学生だった当時から知ってました。宇都宮さんは歌うまくないです。そこを納得した上で、私はTMのファンでした。
宇都宮さんは歌うまくないですが、セクスィーな声質が全てをどうでもよくしてくれていました。
声質は才能です。こればっかりはまさに天から与えられた才能。努力には限度がある。
いい声は七難隠す。隠しきれなかったとしてもかなりのバフがかかります。間違いないね。

 

はい※のコーナー(完全におまけ)。

 

※1 横綱相撲について

yamakinkin.hatenablog.com

かっこいいぜ、横綱相撲。

 

※2 小室楽曲で異彩を放ってるやつ

www.youtube.com

「Beyond the Time」以上に異彩を放ってるやつです。8分40秒ありますが、興味あればどうぞ。私にとって、TM NETWORKの楽曲の中で異彩No.1はこれです。
最初の1音から不協和音です。不安を煽るには十分です。
私は中学生のときこれを聴いて、「なにこれ……」って思いました。歌詞も曲も変だし、やたら長いし。
今でも「なにこれ……」って思います。

90年代~00年代の商業主義に走った小室楽曲に慣れ親しんだ人には新鮮かもしれませんが、小室哲哉だって、初期にはこういう実験的な楽曲を出してたんですよ。
そんな意味での記念碑的楽曲。

 

※真のおまけ

TM NETWORKが小室・木根・宇都宮の3人でデビューする前は、彼らは「SPEED WAY」というバンドに所属してたんですよ。
私は半端ヲタク体質なので、当時普通にCD屋さんで売ってたリマスターCD音源を入手したもんですよ。
「SPEED WAY」の代表曲はこちら。めちゃくちゃ時代を感じる。

www.youtube.com

このバンドから独立した3人がTM NETWORKとなり、当時先進的だったデジタルサウンドに傾倒していった小室の牽引で、一時代を築いていくんですね。