王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

夏と帰省と手巻き寿司

例年、夏休みに実家に帰ると、親戚で集まって手巻き寿司を食べるのが恒例となっている。
漁師町だからさぞ美味しいネタがあるのかと思いきや、ネタは大部分がスーパーで買った刺身のサクである。
一部、蒸しウニだとかホタテだとか地元産のネタもあるけど、私はウニもホタテも嫌いでその恩恵を受けられていない。
でもいいの。手巻き寿司は美味しいから。
 
今年は新型コロナウイルス流行のため、帰省はしないことに決めた。母は孫に会いたいため帰ってきて欲しそうだったが、私が帰省しないことを決めた。
母は持病があるし、祖父は95歳なのだ。
感染者が少ない県からの帰省であるとはいえ、新幹線でもらって移してしまう可能性もある。
君子危うきに近寄らずだ。
こういうのは、用心し過ぎるくらいが丁度いいのだ。ただし、病的にならないようにだけ気をつけよう。あんまりやると疲弊しちゃうからね。
 
さて、手巻き寿司の話。
私が一番好きなネタは、マグロでもハマチでもイクラでもない。魚と魚卵は大体好きなんだけど、それじゃない。

母が作る卵焼きだ。

甘過ぎず、ほんのりしょっぱくて、香ばしくて、サラダ油の香りもまた魅力になっている。
そいつが酢飯と海苔にばっちりマッチして、もうそれを食べに帰省したいぐらいである。たかが卵焼きの手巻き寿司を。
 
あんまり美味しいので、前に作り方を聞いたんだったわ。そういえば。
卵に砂糖と塩を入れて、醤油を少し入れるって言ってたな。
私が作る卵焼きは醤油なしでやってたんだけど、ある日、思い出して醤油を入れてみた。
結果、「あ、これだ」という仕上がりになった。
 
帰省しなくても母の卵焼きが食べられるようになっちゃったよ……。

……いや違う。
違う!
微妙な砂糖と塩の加減とか、焼き加減とか、そういうのが違う!違うんだ!
手巻き寿司には母の作る卵焼きじゃないとダメなんだ!絶対!
 
というわけだから、新型コロナがもう少し落ち着いたら、母の卵焼きを食べに帰省したいと思います。
「落ち着いたら」っていうのが夢物語みたいになってるけどね。
どこかで割りきらないと、一生、母の作る卵焼きが食べられないかもしれない。
その時こそ母の味再現プロジェクト発動ですね。
 
卵焼きぐらいだったら正直どうにかなるんです。
しかし、私が夏に帰省する目的はもう一つあります。
朝捕れたイカの刺身を朝食で食べること。
 
これだけは、完全に実家でないと味わえない夏の味覚です。
95歳の祖父が亡くなったらとたんに味わえなくなる、期間限定グルメ。
さて、私の人生であと何回これを味わえるんでしょうか。
考えてみたら、その機会は決して多くないですね。
むしろ、極めて希少。
 
ほんとは帰省したかったよ。毎年帰省したい。年2回は帰省したいよ。

 
ヘミヤマさんのこちらのノートに触発されました。

hemiyama.hatenablog.com