王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

「さる」「ささる」標準語化希望

タイトルは「猿」「刺さる」ではありません。
北海道~岩手あたりまでで使われている方言です。これが非常に実用的なので、どうにかして標準語にならないかなーと思っています。

※今回のノートは、2012年11月2日に私が某所で書いたものを編集してお送りします。
※最近こんなの多いけど、ネタが涸れたわけではないです。昔の自ネタサルベージ計画。


「書かさる」「押ささる」「食わさる」などのように、動詞の未然形(私の調査では一部例外あり※注)にくっつけて使う言葉です。
「自分ではそのつもりじゃないのに自分の意思とは関係なくそうしてしまう」状態を表します。

たとえば
・カレーの時はいつもより多くご飯食わさるよねー。
・あっ!手がぶつかってスイッチ押ささった!
・このペン書かさんない。書かさるやつ貸して。

ペンで何か書いてるときに「書けねー!」とだけ言ったのでは、何が原因かわからないではないですか。手が痛くて書けないのかもしれないし、書く言葉が思いつかないのかもしれないし、書くことがはばかられるような言葉を書かされようとしてるのかもしれない。
「書かさんない」だと、明らかにペンに原因があるとわかります。自分は書きたいのに、ペンのインクが無くて書けない。この状態が「書かさんない」の一言で表現できます。非常に効率的です。

「押ささった」も同様です。「スイッチ押しちゃった」だと、自分の意思で押したみたいじゃないですか。「間違って押しちゃった」だと長いし。その点、「押ささった」だと、あぁ自分では押すつもりはなかったのに何かの間違いでスイッチが入ってしまったんだな、ということがわかります。なんて効率的なんでしょう。

これもう標準語になんないかな。「自分の意志とは無関係」というニュアンスが一言で表現できる、便利な言葉ですよ。どうですか?全国の皆さん。

ちなみに、福島県では「書かさんねー!」の代わりに「書かんねー!」と言います。まぁ、これでもいいですが、私は出身地の「書かさんねー!」を推す。

ちなみに、北海道でも福島県でも、発音の際にはどっちみち「か」に濁点が付きます。「書がさんねー!」「書がんねー!」


※注:未然形接続の例外について・・・「寝らさる」「食べらさる」の場合は、「未然形+ら」、です。未然形がエ段で終わる上二段活用?の動詞は「ら」が入るみたいです。
→2012年公開後、終止形が「る」で終わる動詞に例外則が適用されるのではないかという指摘が入りました。しっくり来たので多分正解。

自然に使ってる話者はそんな法則なんぞ考えないものですが、改めて考えてみると色々面白い。