王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

地元民

私の住む町では、高齢者、その次に45歳以上の部を経て、若者世代への新型コロナワクチン接種が進んでいる。人口が少なめで予約が取りやすいこともあり、近隣の自治体と比較して早い方である。
 
今年に入ってから我が町に引っ越してきた同僚の20代が、接種場所の個人病院の場所をよく知らないというので、「某スーパーの近くだよ」と教えてあげた。

そして、ハッとした。
 
私は県外出身者でいつまでも他所者気分でいたつもりなのに、家なんか建てて同じ町に10年も暮らしていれば、立派な地域住民ではないか。 

その20代に、「(私)さんって生まれも育ちも◯◯町ですか?」って言われちゃったよ。生まれも育ちも北海道だよって言ったらびっくりされた。知らないとそうなるよな。

私は昼間働いてて家にいないし、新興住宅地ゆえにご近所さんとの繋がりもあんまりないし、ましてや昔からの地域住民との接点はほぼ皆無だ。だから、私がここの地域住民だという自覚がない。
 
なのに、同じ場所に10年も住んでいる。
私が11歳の頃に親の転勤のため引っ越しを経験するまでは実家に住んでいたが、それに次ぐ「同じ場所に住み続ける」記録だ。そしてこの記録は年々更新されてゆく。来年以降はぶっちぎり一位になってしまうのだ。

私は、地元に染まるのが怖い。

この恐怖の原因はよくわからない。

生まれ育った町が嫌いで、「ここには住みたくない」と思っていたせいかもしれない。
だから、高校から親許を離れた。
以来、進学やら就職やら結婚やらで、同じ場所に長く住むことはなかった。

または、幼少の頃からずっと集団に馴染めずに生きてきてそれが自然になってるから、今更何らかの集団に帰属すると、それが終着点みたいに感じられて怖いのかもしれない。
私は常に、一人になれる逃げ場所が欲しいのだ。

会社はまた別よ。あれは利害の一致のみでなんとなく集まった集団もどきだ。自分の力を提供する見返りに金を稼ぐ場所ではあっても、帰属する場所ではない。だから長年勤めていられる。
家庭は……うーん。
たまに一人で逃げたくなる。
 
何かの集団に帰属してポジションが固まり、視野が狭まることに対する恐怖があるのかもしれない。
 
色々考えてみたけど、そういえばこういう状態を一言で表す言葉があった。
 
モラトリアム。