王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

シルバー人材のおしごと:精米

回覧板に、自治体のシルバー人材センターがひとりぐらし高齢者等のために新しく始めた事業のお知らせが入ってた。


話し相手、大切なことだよね。
安否確認、もっと大切だよね。孤独死は防ぎたいからね。
散歩同伴、安全でいいね。高齢者は転倒からの骨折で大変なことになるからね。
蛍光灯などの交換、いやに具体的だな。
買い物代行、便利だね。
軽度の除雪、やけに具体的だな。まあ請け負う方もシルバーだから、あまり重労働はできないよね。

精米。精米??
 
具体的すぎる。つい笑ってしまったんだけど、常に美味しいお米を食べたい高齢者にとっては死活問題なんだと思う。

「精米」、なんだこれ、と思った方は都会の人か、田舎でも稲作が盛んでない地域の人だ。
私は田舎者だが海沿いの町の出身なので、米はもっぱらお米屋さんかスーパーで既に精米されたビニール袋入りのを買うものだと思ってた。家の近くに漁港や魚市場や海水浴場はあっても、田んぼはなかったのだ。
 
家を出てから内陸部に引っ越して、田んぼの近くで「コイン精米機」を見たときはカルチャーショックだった。
一緒にいた地元民の友達に「コイン精米機って何あれ!コインランドリーみたいなの?みんな家から玄米持ってきてお金入れてここで玄米を白米に精米すんの?」と、まさかそんなことはないだろうというテンションで笑いながら言ったら、友達は真顔で「そうだよ?」と言った。
 
そうらしいです。
 
同じ日本に住んでいても、漁村と農村、都会と農村では文化がまるで違うんですなぁ。
コイン精米機にはマジでびっくりしたんだよ。
 
今住んでいるところも、シルバー人材が精米を請け負うほど稲作が盛んです。私の会社同僚なんかにも、(親や親戚や知り合いの)農家から入手した玄米をコイン精米機で精米して食べてるという人がちらほらいます。スーパーにも精米の他に、玄米30kg入りとかが売ってます。
食べるぶんだけ精米できる小型精米機がちょっと流行った時期があったと思うけど、それ買ったっていう人もいる。
 
漁村出身の私には、この地域の皆さんの米及びご飯へのこだわりが信じられなかった。理解できないとまでは言わないけど、そんなにいつも美味しいご飯食べたいか?とは思った。
やれスーパーで売ってる精米済みの米は不味いだの(私にはとても美味しい)、会社の仕出し弁当のご飯が不味いだの(私にはまあまあ普通)、なんだこいつら、と思った。

私にもご飯の美味い不味いはわかる。昔は今みたいにコシヒカリとかひとめぼれとかいう単一銘柄米は一般的じゃなくて、水晶米だのパールライスだのいう標準価格米を食べていた。そんな中、新潟のコシヒカリが手に入って、それを食べたときは初めて「白いご飯が美味しい!」と思ったものだ。だから美味しいご飯と不味いご飯が存在することはわかる。
 
しかし、文化的な背景を抜きにしても、私はそれほどご飯を必要としていない。なんならパンとかパスタの方が好きだし、ご飯は丼物とかカレーとか炊き込みご飯とか、味がついてるのが好きだ。白米には積極的にふりかけをかけたい。
白米至上主義者と私との間には、決して越えられない深くて幅広い溝があるのだ。
 
こんな話もある。
新婚旅行でエジプトに行った。外国は主食っていう概念がないものだが、スパイシーな炊き込みご飯?ピラフ?みたいなのは料理の付け合わせでよく出てきて、毎日そういう米は食べてた。もちろんインディカ米(長い米)。
何日かめで韓国料理店に行った際、白いご飯が出てきて、旦那とか一緒のツアーの人たちが「やったー米だー!ご飯だー!」つって喜んでたんだけど、私は「え?米?毎日食べてたでしょ?」って本気で理解できなかった。本気で。
米は米じゃん。私的には味ついてた米の方が美味しかったけどなーっていう話。
 
だから、シルバー人材センターの「精米」、昔の私だったら「なにこれー!」って笑ってたかもしれないけど、今の私は異なる文化の洗礼を受けたので理解できるようになったという話です。
 
でも、チラシに書くほど主な業務なん?
そこはわかんないわー。