王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

恋に似た感情

Kult der Krähe
ドイツのダークゴシック/シンフォニックメタルバンド「Schwarzer Engel」の今年発売された6枚目フルアルバム。
……身の回りでこのバンド知ってる人に出会ったことないんだけど、そもそもメタラー自体ほとんどいないんだけど、このまま話を続けます。実はこのバンド及び音楽のことが主題じゃないから。

メタルバンドとは言ったけど、Dave Jasonという人のソロプロジェクトみたいなもので、全パートを一人でやっています。ライヴ時にはサポートメンバーが発生します。

ダークゴシックメタルを名乗っていますが、アルバムによってはシンフォニックデスメタル寄りだったりします。
この6枚目は歌が活きてて聴きやすい仕上がりになっています。デス寄りではなく歌モノ。ちなみにドイツ語。私は歌詞はどうでもいいタイプなので、何語でも構いません。
 
歌モノなんだけど、この人あんまり歌上手くありません。2枚目のアルバムも歌モノだったけどクオリティ的に最悪でさ。それに懲りたのか3枚目以降はデス寄りになったけど、今作で歌が復活しました。あんまり抑揚のない曲を低音で歌うので、下手さはそれほど気になりません。考えたなDave。
 
歌の下手さを差し引けば、曲や雰囲気はなかなかのもんです。ただし歌以外にももう一つ問題があって、それはドラム。おそらくこの人が得意なのはギターです。ドラムはドラムマシンを使ってると思うんですけど、これがどうにもガッチガチに硬くて単調でつまんないの。ドラムだけでも他人に任せたらいいのに。
 
このようにバンドマンでも何でもない私が聴いてアラが目立つようなクオリティの音楽を何故アルバム6枚分も追っかけているのかというと、好きだからです。
私が聴いているバンドの中でも屈指のクオリティの低さを誇り、他にいいバンドがいくらでもいますが、私はこれが好きなんです。
「クオリティの高いもの」と「好きなもの」って必ずしも一致しない場合がありませんか?
 
あからさまに天才的な高クオリティの音楽を聴くと「ああ……やっぱいいわあ……この人天才だわ……」という一つの感情しか出てこないけど、Schwarzer Engelの音楽は私の中にもっと色々複雑な感情を呼び覚ましてくれます。
好きなのに素直になれないこと、欠点があるからそれ故に心に残るということ、少なからず美点もあること。こういう色んな感情がないまぜになって煮え切らないところ、恋にも似てるな。
 
私は恋愛市場からはとっくに撤退した人間ですし、めんどくさいから戻りたいとも思いませんが、こうやってたまに音楽で擬似ドキドキするのもいいなあと思いました。

おまけ。おまけか?おまけだ。
https://m.youtube.com/watch?v=RAUnOcKqAC4
ヴィジュアルのことはどうでもいいですが、前作までは甲冑着て羽根生やしたりしてました。