最近寝る前に子どもが昔話を要求してくるんだけど、「かちかち山」のうさぎは超弩級のサイコパスだ。
結論を急ぎ過ぎた。でもあのうさぎはヤベえ。極悪たぬきの遥か上を行くヤバさだ。何故みんなそのことを話題にしないんだろう。
私がベースにしているお話は、最近のゆとり仕様の昔話ではなく、ちゃんとたぬきがお婆さんを杵で撲殺した上、婆汁にしてお爺さんに食べさせ、「ババアの骨は台所の下だぜ!」と叫んで笑いながら逃げていくやつだ。めっちゃ大量の婆汁ができそうなもんだけど、婆さん痩せててあんまり食べるとこなかったのかな。
ゆとり世代の子に上記の話をしたところ、「えっ、お婆さんSATSUGAIされるんですか!?」と驚いていた。
いや、お婆さんがSATSUGAIされないとしたら、うさぎのやった復讐は更にサイコパスみを帯びちゃうでしょう……。
皆さんご存知と思うが、たぬきとうさぎのやったことを整理しておこう。
たぬき
①お爺さんの畑を荒らしたりお爺さんを馬鹿にしたりイタズラする
②お婆さんの優しさにつけ込んでお婆さんをSATSUGAI
③お婆さんに化けて、お婆さんの肉をその夫であるお爺さんに食わせる
うさぎ
①たぬきの背中にこっそり火を点け、火傷を負わせる
②その火傷に、薬と偽って唐辛子味噌を塗り、たぬきを苦しめる
③たぬきを騙して泥の船に乗せ、湖に沈めてSATSUGAIする
たぬきも大概だよ。たぬきの悪事も度が過ぎてる。
しかし、何故うさぎがそれよりヤバいのかというと、うさぎは上記の内容の復讐を、自分ではなくお爺さんのためにやっているところだ。
例えば、お婆さんを殺された復讐のために、お爺さん自身がたぬきに二重三重の責め苦を与えたならまだ話はわかる。
また、うさぎが身内を殺された復讐のためにやったのならわかる。
うさぎにとってお爺さんお婆さんは、いくら友達とはいえ、他人だ。
他人のために、ああいう込み入った復讐ができるものだろうか。
きっと、うさぎは日頃から、誰でもいいから誰かを責め殺してみたかったのである。私はそう推察する。
仲良くしていたお爺さんがお婆さんをたぬきに殺されたとき、うさぎは「チャンス!」「大義名分を得た!」って思ったはずだ。
そして、たぬきを苦しめて苦しめた上にSATSUGAIした。
楽しかったろうなー。
「お爺さん……お婆さんの敵は取りましたよ」と言ったときのうさぎは、満足感でいっぱいだったろうなー。
お爺さんの敵を取ったことではなく、自分が望んだ通りの殺し方で誰かを殺すことができた満足感で。
あと、この物語を考えた昔の人、考え得る限りの残酷なことを考えたんだろうな。婆汁とか唐辛子味噌とか、酷すぎるもんな。
作者の趣味だな。作者怖えぇ~。
いつか、「マッチ売りの少女」について考えたことも話してみたいです。