王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

報われない最期っ屁(虫の話注意)

昼休みの後、会社で掃除をしていたら、わりと大きめの虫が現れた。

工場なので虫が出ちゃいけないはずなんだけど、山の中にある老朽化した工場なのだから仕方がない。幸い、食品工場でも医療製品工場でもない。
しかし、虫は見つけたらすぐに排除するべきだ。

私は、持っていたホウキで虫を仕留めた。
そしたら、ものすごい臭いが辺りに立ちこめた。
五角形のアイツではなかったが、身の危険を感じると嫌な臭いを発するタイプの虫だった。完全に油断していた。
鼻を刺すような、やや苦みのある、今まで私が嗅いだことのない臭いが、階段下のスペースいっぱいに広がった。

しかし、そのフロアは試作フロアであった。
技術の人や研究の人が、いろんな薬品を持ってきて、製品を試作するのだ。
ちょっとぐらい変な臭いがしても、「また誰か新しい薬品をテストしてるのかな」ぐらいにしか思われない。
おまけに、今日は設備が故障して修理が入ってた。だから機械油の臭いもしていた。

私が虫を仕留めて「くっせえ」って思っていたところに2~3人が通り過ぎて行ったが、誰一人「くっせえ!」とか「この臭い何?」とか言わなかったので、みんなもこのフロアで変な臭いがすることには慣れっこなのだ。

報われないのは、私に仕留められた虫である。
虫としては、命の危険を感じて、せめて食べられないようにと最期に精一杯の不快な臭いを出したのに、それが誰にも一顧だにされなかったのだ。せめて誰かが臭いに気付いてくれたら、虫はそこに存在した証を遺せたはずなのに。

私だけが、その虫の反撃を受けたよ。
「くっせえ」って思ったよ。その臭いは、君が生きていた証だよ。

誇っていい。君は強かった。
現れる場所を間違えたばかりに、虫が平気な無慈悲人間に殺害されてしまったのだ。
または、君が臭い変な虫ではなく、人間に人気のあるカブトムシやクワガタムシ(メスでも)であれば、外にポイってされるだけで済んだのだ。生まれてくる種を間違えたのかもしれない。

ところで、我が工場、たまにクワガタも出る。
以前に立派なノコギリクワガタの死骸が落ちてたこともあったし、生きたメスクワガタがのそのそ歩いてたこともあった。メスクワガタは私がつまんで、大雨の中、外にポイした。

あと、廊下をオニヤンマが飛んでたこともあった。

製品の品質的な面でも、工場ごと建て替えてほしい。