王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

小学生と運賃

小学3年か4年の頃、学級の親子レクリエーションで、郊外のアスレチック公園に行ったことがある。

路線バスで行った。貸し切りでなく、路線バスだ。過疎地のバスは客がいないので、こういうことができる。
1台の路線バスに1クラス25人程度の子どもとその親が全員乗れるわけなさそうだけど、路線バスでないとここから後の話が進まない。記憶が定かではないんだけど、もしかしたら2回に分けて行ったのかもしれない。
とにかく路線バスであることは確かだ。運賃のアナウンスが流れていたからだ。

私の通っていた学校はとても田舎にあり、路線バスなんかロクに乗ったことがない奴らばかりだった。私もそうだった。
 
路線ワンマンバスでは、次の停留所を案内する際、運賃が変わる場合は「運賃が変わります」のアナウンスが流れる。
その度に、男子どもが大爆笑してた。
 
「運賃=うんちん」という単語が、おかしかったらしい。
なにしろ普段バスに乗らない田舎の小学生だ。バス料金を「運賃」って言うことに馴染みがない上、単語自体が「うん」「ちん」で構成されている。
小学生男子の大好物ではないですか。「うん」「ちん」。

それを、バスのアナウンスの、かしこまった女性の声が「うんちん」って言う。田舎の子どもや田舎のお母ちゃんとは全く異質の、標準語でしゃべる、かしこまった女声が、「うんちん」って言う。
 
「うんちんだってー!」「うんちん!」って大爆笑ですよ。うちのクラスの男子どもは。
運賃が変わる度に「うんちん!」「うんちん!」って大爆笑。
 
未だに「運賃」という単語を聞くと、このことを思い出します。
 
なんかこう、人間って、もっと単純でいいんじゃないかな。
「うんちん」で大笑いできるような大人ばかりなら、世界から争いが消えるんじゃないか。
 
関係あるかどうかわからないけど、子どもがいる大人は、確実に笑いのハードルが下がります。
幼い子どもに「うん」って言われたあと「こ」って付け足されるだけで笑っちゃいます。「ぶへ」ってなります。
おじさんおばさんの笑いのレベルが低い理由は現代の笑いに追い付いていないからではなく、子どもに合わせてるから説、ありますよ。言い訳みたいですけど、これはマジである。

何でも笑えるのって幸せじゃないですか?
つって何でも笑ってると、若者にバカにされるのかもしれない。
 
私は最近、それでもいいと思えてきました。
「うんちん」で笑う中高年、傍目から見たらヤバい人だけど、本人が幸せならそれでいいんじゃないか。
 
こうして世代間の乖離が進んでいきます。