王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

まあまあ大切にケアしていた娘の奥歯が、ちょっぴり虫歯になっていた。
早めに治療した方がいいのかと思って、歯医者に連れて行った。
 
先生は歯を見るなり、「ああ、これ?……こんなのは、今は歯科検診でも『まあいいか』で通るやつですよ。削らない方がいい。昔は削ってたけどね、今はやらない。削ると、周りのいい部分まで削っちゃうから逆に良くない」と仰った。
それにまだ乳歯だし。

おじいちゃん先生だけど、当たり前かもしれないけどちゃんと情報がアップデートされてるんだな。安心した。学会とかで最新の情報を共有してるのかな。
どこの業界でもそうだけど、時代によって常識は変わるから、それに関わる人間も変わらなければならないのですよね。自身のアップデートをやめた人間が「老害」と揶揄される。
 
話は変わるが、私の歯はガタガタである。
歯並びは悪いし、治療痕のない臼歯はほぼない。それでも親知らず以外の歯は全部生え揃っているし、全部の歯(八重歯の犬歯1本以外)を使ってしっかり噛むことはできるので、歯医者様々である。

私が赤ちゃんの頃は、さすがに離乳食の口移しはされていなかったと思うが、箸の共有だとかお口にチューとかは普通にされていただろう。虫歯の母子感染に対する意識がとても低かった時代だ。
私は母に、虫歯になりやすさを移されてしまっていたのだ。

言うまでもなく、母に悪気はない。
母が私にくれた私の母子手帳を見ると、母も自分が虫歯で苦労したもんだから、私に同じ苦労をさせまいとは思っていたようだ。しかし、2歳だか3歳の私に虫歯が見つかったときのコメントに「砂糖じゃなく果糖を使ってみよう」という的外れなことが書いてあったので、腰が砕けた。

そんなことより歯を磨けよ。
歯磨き強化しろよ。
昔だからしょうがなかったのかなー……。
 
というわけで、私は子どもの頃から虫歯だらけで、歯医者のお世話になりっぱなしだった。
私も母も歯の健康に対する意識が著しく低いもんだから、一応歯磨きはしていても不十分で、虫歯は増える一方だった。

普通なら乳歯はグラグラしてきて自然に抜けるものだろうが、私の場合は、歯医者で「そろそろ抜けそうだから治療ついでに抜きましょう」つって抜かれた歯が大半である。臼歯は全部そう。
1本ある八重歯は、私が「抜かれてから生えてきてない歯あるよ」って母に言ったのに「いや無いでしょ」って言われた結果、歯医者もちゃんとしてなかった結果、両側から歯が迫ってきて犬歯の生えるスペースがなくなったために発生したものである。当時の私も、説得を諦めるなよ。

歯並び矯正の機会もないではなかったが、なんとなくやらずに来てしまった。今更やるにはお金よりも時間が惜しい。
 
母も虫歯になりやすく、私の歯もガッタガタだから、娘の歯は私が責任を持ってきちんとしてやろうと思っている。未だに夜は仕上げ磨きをしている。
いいんだよ、過保護と罵ってくれても。
それくらい私は娘の歯を守りたい。
歯並びが悪くなったら矯正でも何でもしてやる。
歯並びが悪いと、人前で歯を見せて喋るにも笑うにも勇気がいるんだぞ。娘にはこんなハンデは背負わせたくない。

いいんだよ、過保護と罵ってくれても。
 
娘は虫歯の痛みを知らない。
私がいくら「虫歯になって歯に穴が空くとすっげえ痛いんだぞ、だから歯ぁ磨け」と言ったところで、虫歯の痛みを味わったことがないんだから何の説得力もないんだろうな。
 
幸せなことなのかな。幸せなことだったらいいな。