王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

リアルな感覚の夢

他人の夢の話ほどしょうもない話もないと思うんですが、お付き合い下さる方はお付き合い下さい。
朝起きると夢のほとんどを忘れるため「印象に残る夢」がほとんどない私ですが、たまに、ものすごくリアルに感じる夢を見ます。
夢自体がリアルなのではなく、夢を見ている私の考え方・感じ方が、実にリアルなんです。
 

その1 殺人犯として生きていくよ
ある田舎町の地下道に住み着いていたホームレスの人を、私が突然ナイフで殺害する。
突発的な犯行なので、犯人はなかなか見つからない。
私はいつも通りの日常を、「私は人を殺した」という思いを抱きながら、淡々と送ってゆく。「人を殺したのに私は今までと変わらない日常を送っている」という(夢の中の)事実に、不思議な高揚感があった。 いつか突然警察が来て捕まるんじゃないか、周りの人がその事実を知ったらどういう反応するんだろうか、というスリルがたまらなかった。

目が覚めてから、「人を殺してなくて本当に良かったなあ」と思った。
もともと私はスリルを楽しいと思わない質なのだった。浮気もギャンブルもしようと思わない。超安定志向なのだ。スリルはフィクションと夢の中だけにしておいてもらいたい。

逆に言うと、フィクションでなら楽しめるのだ。
刺激の少ない毎日、子どもができてからはどっぷりフィクションに没頭する機会がなかなか無いので、夢に出たのかもしれない。


その2 安楽死をするよ
なんかの病気で私は入院している。絶対に助からないので、自分の意思で安楽死を選択した。その世界では、安楽死は合法らしい。
病気のわりに全然痛みも苦しみもないし意識もはっきりしてるんだけど、それはまあ、夢だから。
いよいよ当日、点滴で薬を注入され、徐々に眠くなって、安らかに意識が遠くなっていく。
「今眠ったらもう二度と目覚めることはないんだな……」と思ったところで、急に恐怖が襲ってきた。「やめて!」と思った。
そこで目が覚めた。
 
突然話は変わるが、低月齢の赤ちゃんは「寝ぐずり」をする。眠くなると機嫌が悪くなり、ギャン泣きする。そんなに眠いならさっさと寝たらいいのに、めちゃくちゃ泣く。うちの上の子は、寝ぐずりがそれはもう激しかった。
一説によると、赤ちゃんは本能的に、眠るのが怖いらしい。眠っている状態は完全に無防備なので、いつ外敵に襲われて死ぬかわからない。眠ったが最後、二度と起きられないのではないかという恐怖で、眠いのに全力で眠るのを拒否して、ギャン泣きするらしい。
ほんとかな。
 
私が夢の中で「眠ったが最後、二度と目覚めない」と悟った瞬間の恐怖は、まさに赤子の寝ぐずりと同じ気持ちかもしれなかった。
あんな恐怖が襲ってきたら、必死で眠りに抗おうとするわ。赤子なら泣くわ。

普段私は、「苦しみながら死ぬのは嫌だけど“死”それ自体は別に怖くない、この世から突然パッといなくなるなら別にそれでもいいかな、でも遺された家族、特に子どもたちは可哀想かな」ぐらいの気持ちで生きていた。そのつもりだった。
けど、夢の中とはいえ、いざ自分がこの世からいなくなるよという瞬間、恐怖を感じた。「生きたい」と思った。
 

総括
私のリアルな感覚の夢は「死」「恐怖」関連だということがわかった。これらに対する感情はきっと、人間の根源的なものだ。
普段私はあんまり生[nama]の感情を出さずに生きてるので、たまに夢で体験しないと忘れてしまうのかもしれない。
夢ってやつは、自分の脳が作り出す、いわば完全に自分が創作したフィクション作品である。
人を殺したことも死を選んだこともないのに、それらに対してめちゃくちゃリアルな感情を呼び起こされることは驚きである。
 
結論
脳味噌って不思議。
もっと色んな夢を覚えていられたらなあ。
あと死は生々しいので怖い。「死」以上に生々しいことがあるだろうか。