王様ホール

考えたことや感じたことや起こったことを書きます。

人並みになりたい

先日、小学校の授業参観→ちょっとした催し物の行事があった。私は今年度PTAの役員に任命されているため、事前にも当日にもちょこちょこお手伝いをしていた。

役員は好きでやっているのではない。田舎の学校のため、子ども1人の在学中に必ず1回以上役員が回ってくる。繰り返して言うが、断じて好きではない。好きか嫌いかで言ったら明らかに嫌いだ。

そもそも、私にはこういう仕事は向いていない。人と話すのが苦手だし、曖昧な指示しか出ていないのに気を利かせて自分から仕事を見つけて行動することが元々とても苦手だ。また、指示を仰ごうにも、よく知らない先生や他の役員さんに話しかけるのが苦手だ。

しかし私には武器がある。

必殺・「年の功」。

苦手なことでも、逃げながらでもなんとなく長年向き合っていれば、なんとな~くだんだんできるようになってくるのである。
得意な人にとっては幼稚園児とか小学生の時から自然にできていたことを、私は40代半ばになってやっと人並みにできるようになってきたのだ。

人には何事にも向き不向きがある。脳味噌の形(比喩的表現)は全員違う。努力すれば何でもできるようになるかというと、そうではないように思う。長年野球やってれば誰でも大谷翔平みたいに活躍できますか?って話よ。←喩えが極端すぎたかもしれない。

そうやって自分や他人の限界を決めてしまうのは良くないかもしれないけどさー、少し努力してみて「あ、これ向いてねえな」と思う分野って誰にでもあるでしょ。私の場合はそれが「人付き合い」「会話」「気を利かせること」(それと「運動」)だったんですよ。みんなみたいに上手くできないことについて、ひたすら悩んで長年考えて、そういう本を読んだりもしたよ。
その結果、近年になって、運動以外は全て、私の「他人への興味の無さ」に起因することがわかった。ようやく、はっきりとわかった。言語化することができた。
きっと永久に解決はできないが、開き直れるようになった。そうしたら楽になった。

しかし厄介なことに、私には少々高いプライドがある。何に関しても人並み以上でいたいのだ。人並みになれなかったとしても、最低限、人に蔑まれないレベルまでは上げたい。そこまで上げてみて、人並みレベルに到達するのが難しいようだったら、なんか別の手持ちスキルでカバーして、どうにかこうにか人並みくらいに見えるように頑張る。

会話だとしたら、「普通の会話はあんまり弾まないけど、たまに変わったことを言うから面白い」を落としどころにする。

裏技使わないと人間社会で生きていけないんだよ私は。
たまに他人に興味を持ったとしても、慣れてないもんだからどこまで踏み込んでいいのかわからなくて、結局距離を縮められない。
40代半ばになってこのレベルだぜ。正直、たまに辛いっす。
裏技を使うためのスキルがあったことはラッキーだったかもしれない。


で、学校行事の話に戻りますが、私は長年かけて多分人並みくらいになった能力で行事のお手伝いをしていたんですよ。その様子を見ていた夫が、「(私)があんなに手伝いをする人だとは思わなかった、結構働いてたね」って言ってくれました。
人並み認定。やった。

ちょっと嬉しくて、今回書いたような種明かしをしたよ。長年努力してきてやっと、みんなができることができるようになったんだ。私もやっと人並みの人のふりをすることができるようになったんだ、って。
そしたら、「まだまだだけどな」って言われた。
うるせえな。それは私が一番よくわかってるわ。

夫からフォローみたいな形で「『人並み』とは言うけど、『人並み』『正常』って何だろうなー。『正常』な人間なんて奴はいないよ」と言われた。
多くの人が、「正常」のふりをして生きているのかもしれないね。そうすると、「人並み」のふりができるようになった私はもう、人並みの人間になれたのかもしれない。


あと付け加えると、事前打ち合わせの段階で、ちょっと面倒だなーと思った仕組みに対し、私が「これは〇〇に統一したらどうですか?」「〇〇を使ってはどうですか?」とPTA会長に提案したことが受け入れられ、採用に至った。面倒は嫌いだ。
私の案が受け入れられたのが素直に嬉しかった。存在をちゃんと認めてもらえている手応えがあった。
そのPTA会長さんは、こういった仕事が向いていて、好きでやってる人なんじゃないかなという気がする。私たちの提案に対して「いいですね!」とか言うし、学年毎にグループで集まっていた際、「さすが6年生の保護者さんたちは違いますね!一番まとまってます!」とか褒めてくれた。こういう人は凄いな。私には手が届かない。

HUNTER×HUNTER」G.I.編のハンター試験において、私がアモリ三兄弟のレベルだとしたら、PTA会長さんはキルアだ。才能が違い過ぎる。いや、私がアモリ三兄弟のレベルだと言うことすらおこがましい。私はきっと予選会場にすらたどり着けないボンクラのレベルだ。

私は私で別の才能を活かした人生があるから実はそれほど羨んでもいないんだけど、日本社会や教育現場に、もっと「個々の才能を活かす」風潮が広まってくれればいいですね。
嘘でもいいから「お前はダメじゃない」って言ってくれる係の人を配置してもいい。